マジック・エンジェルほたる
「え?!…なんですって?!」
セーラは、蛍の囁く内容があまりにもバカバカしいので、思わず眉をひそめて唖然とした。怒りに声は震え、セーラは支離滅裂な言葉を発していた。
「あのねぇ……蛍ちゃん」
「へへへっ。私のいう通りにしないと、絶対に魔物…なんとかかんとかっていって封印したりとかしないもんね」
彼女はナマイキに、宣言をした。
セーラは呆れて何もいう気もうせて、しばらく宙に浮いていた。そして、まぁいいでしょう、という気持ちを込めてタメ息をついた。
どんな時にも、何かを悩んでいる時も、嬉しくって胸をわくわくさせている時も、絶対に夜は訪れる。しんと深い夜。そして人々を眠りに誘っていく。そして夢をみる。淡い夢。それはかけがえのないような、奇跡のような、なにげないような感じだ。螢はそうした気持ちを心にしまう。今やってきた夜も、朝も、すべてはいずれ夢になってしまうだろうから。
蛍もそんな人間のひとりだ。彼女はパジャマ姿で、ど派手なパッション・ピンクのベットで寝ていた。もう時計の針は、午前三時三十五分三十二秒をさしていた。
「うーんチョコレートパフェ、シュークリーム。ああん、食べましょうよ、タキシート仮面様!」