トリゴニコス・ミソス
プロメテウスの言うところのゼウスの悪い癖というのは良くわからないが、

どうやらうまいことゼウスを乗せることができたようだった。

「まずは、この人形に命を吹き込み不老不死の力を与えて欲しいのじゃ」

そういってプロメテウスは、抱きかかえていた人形をゼウスの前に横たえた。

それは、今この瞬間にでも動き出しそうなほど精巧に作られた人形だった。

「ふむ。それはまた簡単な願いだな。いいだろう」

ゼウスは手に持っていた王笏を振りかざすと一気にその人形に向けて振り下ろした。

振り下ろした瞬間、まばゆいほどの光と音が鳴り響いた。

光の威力が衰え次第に視力が戻ってくると、

そこには一人の見たこともないほど美しい少年がたたずんでいた。

ゼウスはしばらく満足げにその少年を見ていたが、すぐに太陽と美名に視線を移した。

「この少年を連れて、庭の泉に行き、そこで沐浴をさせなさい。

そうすれば、この少年は不老不死となろう」

「ありがとうございます！」

ゼウスはただにっこりと微笑んで、二人を促した。

太陽と美名はさっそくその少年を連れて、窓から庭へと降りていった。
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