トリゴニコス・ミソス
ミラ メラ(運命の日)
エオスの宮殿に着いたのは、ちょうどあれから3日目の夜明け前。

曙の女神を訪れるには一番適した時間、そしてその女神が指定した時間が尽きる間際だった。

前に宮殿に来たときに入ることを拒んだ門番は、今日は何一つ言ってくることがなく、逆に不気味な感じがした。

この前と同じ、宮殿の庭にある東屋へまっすぐ向かった。

そして、そこにはやはりエオスとイデアがいた。

前のときと同じように、エオスは椅子に腰掛け、その傍らにはイデアが傅くようにしたがっていた。

「エオス。お前の望むものを連れてきた。イデアは返してもらう」

「まあ、どこにいるのかしら? イデア以上の美少年など」

確かに、その場にいたのは太陽と美名だけだった。

アポロン、ヘルメス、パンの三神はプロメテウスに言われ、プロメテウスが創り上げた美少年の最後の仕度をしていたからだった。

「そんなに急ぐことでもないだろう。まだ約束の時間までは間があるはずだ」

「そんなことを言って、何をたくらんでいるのかしら? イデアを超えるものなどこの世界にいるわけがないのに」

「確かにな。俺が言うのもなんだけど、イデアほどの美少年はそうそういないだろうさ。な、美名」

「う、うん。イデア君本当に女の私から見ても綺麗って思っちゃうほどだけど……」

「ほら、ごらんなさい。さあ、いい加減あきらめてもう帰りなさい」

「いや、俺たちはあきらめるつもりはない。それに、どう思おうがイデアの代わりは、本当に連れてきている。ほら、どうやら準備ができたみたいだ」
< 121 / 162 >

この作品をシェア

pagetop