トリゴニコス・ミソス
その言葉が合図になったかのように東屋の入り口にヘルメスたちが現れた。

そして、彼らに連れられてきたのはオリュンポスで出会ったのとは少し違う少年のようだった。

どことなくイデアに似た雰囲気を持つその少年は、ただエオスのことだけを見つめていた。

「あれ? パン君、どういうこと?」

美名は明らかに動揺しているようだった。

もしかしたら、あらためて別の少年をどこからかさらってきたのかと思ったからだ。

「何も心配することないぞ。

プロメテウスに、エオスにとってはこうするのが一番いいって言われたからさ。

ほら、見てみなよエオスの顔を」

そう言われて振り返って見たエオスの顔は驚愕の色を貼り付けていた。

あまりにも驚いたのか、声も出ないようだった。

しかし、徐々にその表情に変化が現れた。

驚きの表情から歓喜の表情へと。

「ティトノス……」
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