トリゴニコス・ミソス
慌てて二人はイデアを抱えるとそっとその場に横たえた。

横たわるイデアは、今まで見せていた苦しげな表情がうそのように、とても穏やかで幸せそうな顔をしていた。

「どうしよう、太陽。イデア君大丈夫かな?」

心配そうに太陽にすがりつく美名に対して、太陽はイデアの様子をじっと観察していた。

そして、その結果に満足したのか美名を安心させるようににっこりと笑いかけた。

「大丈夫。ちょっと気が緩んだだけみたいだ。血色もいいし脈もしっかりしてる。しばらく寝かせておけば目を覚ますだろう」

「うん。おいらも心配ないと思うぞ。おそらく、エオスにかけられていた神力が解けて気を失っただけだろう」

太陽とパンからそういわれて、やっと安心したのか美名はいつもの笑顔を見せた。

太陽は美名のその顔を見て、ああこれで全て終わって三人で帰れるんだなと実感した。

しかし、それにはまだ疑問が多く残っている。
< 124 / 162 >

この作品をシェア

pagetop