トリゴニコス・ミソス
「う…ん…」

オリュンポスへ向かう途中、イデアの意識が戻った。

「イデア?」

「イデア君!」

イデアは頭を振りながら、ゆっくりと体を起こして辺りを見渡した。

そしてそこに、ずっと会いたかった懐かしい顔を見つけることができた。

「太陽、美名」

イデアは天使のような微笑を二人に向けた。

「イデア君、良かった……」

美名はもうすでに瞳にいっぱい涙をためてイデアを見ていた。

太陽は、久しぶりに間近で見る親友を眩しそうに見つめていた。

「ごめん、二人とも。僕のせいで危険な目に合わせちゃって」

「何言ってんだよ。元はといえば俺たちがあの時ちゃんとお前を探さなかったのがいけなかったんだ」

「そうだよ、イデア君。私こそ本当にごめんね。何でイデア君のことを忘れていられたのかわからないんだけど……もう絶対そんなことはないから」

イデアは、今度は複雑そうな表情で二人を見ていた。
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