トリゴニコス・ミソス
エピストレフォ(帰還)
オリュンポスのゼウスの宮殿の前ではプロメテウスが出迎えてくれた。

「やあ、子供たちよ。無事に戻ってくることができたようじゃな。ほう、これは確かに滅多にお目にかかれないほどの美しい少年じゃな」

一瞬目を細めてイデアを見たプロメテウスだったが、もう次の瞬間には悩ましげな表情になっていた。

太陽も美名もどうしてプロメテウスがこんな表情をするのか想像ができなかった。

しかし、神々たちは恐れていたのだ。

この少年を本当にゼウスに会わせていいのかを。

「まあ、とにかくこちらへおいで。元の世界へ戻れるように手配してある。まずその前にその少年の顔をあまり見えないように前髪で顔を隠してしまうのじゃ」

何を心配しているのか、ほかの神々も一斉にうなずいていた。

二人はしかたがないので、イデアの前髪をくしゃくしゃにして顔があまり見えないようにした。

「イデア君ごめんね。大丈夫ちゃんと前見える?」

「うん。大丈夫だよ」

「よし、じゃあ行くか」

「ああ」

三人はお互いに目を合わせると、にっこりと微笑みあった。

そこには確かに昔の三人が戻ってきていた。
< 132 / 162 >

この作品をシェア

pagetop