トリゴニコス・ミソス
「しかし、お前たちは私にこの少年を隠したいようだな。それは、この少年が私好みの美少年だからってところだろう。違うか?」

ゼウスに睨み付けられた神々はもう反論することができなかった。

神々は誰一人としてゼウスに逆らうことができない。

ゼウスに睨まれてしまったら赤子同然になってしまうのだった。

「さて、少年よ。別にお前をとって食おうなどとは思っておらん。

ただ、お前の顔を見せておくれとそういっているだけだ。

そうしたら、お前たち三人とも元の世界へと帰してやる。

どうだね、全てはお前にかかっているのだよ」

「――わかりました」

イデアは、ゼウスの前へと進み出た。

神々は心配そうな顔をしてその行方を追っていた。

そして、太陽と美名はいったいどうなるのか、固唾を呑んで成り行きを見守ることしかできなかった。

イデアはゼウスの前にひざをつき、ゼウスに敬意を払うと前髪をかきあげた。

「ほう……」

ゼウスはイデアを見てしばらく言葉をなくした。
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