トリゴニコス・ミソス
「よし、十分別れは惜しんだかな? 

では、お前たちを元の世界へと送り帰してやろう。

さあ、三人ともその姿見の前に立ち、はぐれないようにしっかりとお互いに手を握り合いなさい」

三人はゼウスに言われるままに美名を真ん中に挟んでしっかりとそれぞれの手を握りしめた。

ゼウスはそれを見届けると人形に命を吹き込んだときと同じように、王笏を頭上へ高々と振り上げしばらく力を集中させると、一気にそれを振り下ろした。

その瞬間広間は光の渦へと飲み込まれた。

そして、やっと目が慣れてきた頃三人がいたはずのところには誰もおらず、ただ姿見だけが残されていた。

「ふー、どうやら無事に戻れたみたいだな」

「よかった。彼女たちにとっては自分たちの世界で暮らすのが一番だからな」

「でも、おいらちょっと寂しいなー。せっかく友達になれたのに」

三神たちはすべての悩みは吹き飛んだように、明るい顔で語り合っていた。

そんな中、プロメテウスは静かにゼウスの元へと近づいた。
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