トリゴニコス・ミソス
太陽は、五年前の出来事から順を追ってパンに語り始めた。

パンに話すことで、太陽の中でも今までの経緯を整理することができた。

「なるほどなー。それでだいたいわかったよ。太陽たちが気になったっていうその鏡が、向こうとこっちを繋ぐ扉になってたんだ。でも、誰がそんなもの置いたんだろう?」

「そんなことするのは一人しかいないだろう、パン」

それまではただ、静観しているだけだったヘルメスが口を開いた。

「えー、やっぱりそうなのかなー?」

「あの人の考えることはいつも突拍子もないからな。それも何か考えがあってのことなんだろう。まあ単なる気まぐれっていう可能性もかなり高いけどな」

「だね」

「ねえ、パン君。誰のことを話してるの?」

「うん? ああ、ゼウスのことさ。おいらたち神々の頂点に立つ大神さ」

「ゼウス? なんだか聞いたことがあるようなないような……」

「うん、そうだね。子供の頃に読んだお話にそんな名前の神様が出てきた気がする。あれは、確かイデア君が持ってた本だった気がする……」
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