トリゴニコス・ミソス
「私たち、そこにいるイデア君の友達なんです。行方不明になったイデア君を探してここまできました。エオスさん、お願いですイデア君を私たちに返してください!」
「それこそ、いきなりな願いね。それに、探し出すのにずいぶんと時間がかかったようね。実は、イデアのことなど忘れていた――そうじゃないの?」
美名は言葉に詰まってしまった。
確かに美名はこの五年間一度もイデアのことを思い出すことがなかった。
何か大切なことを忘れてしまっているそんな喪失感は持っていたが、まさかそれが人一人いなくなってしまったことだとは思っていなかった。
「確かに……確かに私はイデア君がいたという事実さえ忘れてしまっていました。でも、だからこそイデア君を返して欲しいんです。イデア君に許してもらえるなんて思ってないけど、一緒にいられなかった年月を取り戻したいんです。だから、お願いします!」
エオスの隣にいるイデアは何かを訴えたいそんな顔で美名のことを見ていた。
しかし、なぜかイデアは言葉を発することはなかった。
「ふん、この小娘は気に入らないわね」
エオスはイデアの顔をちらりと見てから、いきなり美名めがけて何かを投げつけた。
しかし、美名に届く寸前、太陽は身を挺してそれを阻止した。
その太陽の肩には真っ赤なバラが刺さっていた。
「それこそ、いきなりな願いね。それに、探し出すのにずいぶんと時間がかかったようね。実は、イデアのことなど忘れていた――そうじゃないの?」
美名は言葉に詰まってしまった。
確かに美名はこの五年間一度もイデアのことを思い出すことがなかった。
何か大切なことを忘れてしまっているそんな喪失感は持っていたが、まさかそれが人一人いなくなってしまったことだとは思っていなかった。
「確かに……確かに私はイデア君がいたという事実さえ忘れてしまっていました。でも、だからこそイデア君を返して欲しいんです。イデア君に許してもらえるなんて思ってないけど、一緒にいられなかった年月を取り戻したいんです。だから、お願いします!」
エオスの隣にいるイデアは何かを訴えたいそんな顔で美名のことを見ていた。
しかし、なぜかイデアは言葉を発することはなかった。
「ふん、この小娘は気に入らないわね」
エオスはイデアの顔をちらりと見てから、いきなり美名めがけて何かを投げつけた。
しかし、美名に届く寸前、太陽は身を挺してそれを阻止した。
その太陽の肩には真っ赤なバラが刺さっていた。