トリゴニコス・ミソス
それを機にヘルメスたち神々はそこを後にしようとした。

「おい、イデア!」

そうイデアに声をかけたのは太陽だった。

「お前、何で何も言わないんだ? お前は俺たちと一緒に元の世界に戻りたくないのか!」

「イデア君……」

二人の問いかけにもイデアは何も返してはこなかった。

ただ、悲しげな目で二人を見つめているだけだった。

「わかった、イデア。とにかく、また来るからその時はちゃんとお前の気持ちを聞かせろよ」

「イデア君、もう少し待っててね。私たち絶対イデア君と一緒に帰るから」

太陽と美名もそういい残して、ヘルメスたちの後を追った。

「太陽、大丈夫?」

美名は、さっき自分の代わりに太陽が受けた傷が気になっていた。

「うん? ああ、こんなもの舐めときゃ治るよ」

太陽は美名を安心させるように、微笑んだ。

そんな太陽を見てパンは、太陽の傷口を軽くたたいた。

「いたっ!」

「太陽!」

「バカだなー。やせ我慢するなって。でも、これが刺さったのが太陽でホントに良かったかもな」

「どういうこと?」
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