トリゴニコス・ミソス
「そうか。では、君たちには二つ取ってきてもらいたいものがある。

一つは、ペルセフォネの美しさ、そしてもう一つはミノタウロスの涙じゃ。

この二つを君たちにそれぞれ取りに行ってもらいたい」

「ちょっと待て。それは別々に行動しろってことか?」

「そうじゃ。まず第一に時間がない。それに、これは各々が立ち向かわなくてはならない試練のようなものじゃ。

ペルセフォネというのは、冥界の王ハデスの妻すなわち冥界の女王じゃ。

そのため、まず冥界にいかなくてはいけない。冥界には獰猛な番犬ケルベロスがいる。それ以外にも、冥界には冥界独自のルールがあるのでそれらを掻い潜らなくてはいけない。

ミノタウロスはクレタ島のラビリントスに住む、半人半獣の怪物じゃ。毎年多くの若者がこの怪物の犠牲になっておると聞く」

「じゃあ、俺がそのミノタウロスのほうに行く!」

「いや、クレタ島にはそちらの少女が向かいなさい。そして少年よ、お前は冥界へ行くのじゃ」

「なんでだよ!」

「それが一番いい選択なんじゃよ。その理由はそれぞれが帰ってきたときに自ずとわかるじゃろう。

それから、二人とも冥界およびラビリントスに入ってからはこのおせっかいどもの力を借りてはならんぞ。

もし、誰かの力を借りるようならばこの試みは成功しない。

ほら、それぞれこれを持っていきなさい」
< 52 / 162 >

この作品をシェア

pagetop