トリゴニコス・ミソス
そういって、プロメテウスは太陽に黒い小さな箱をそして美名にはガラスでできた綺麗な小瓶を渡した。

「この小箱の中にペルセフォネの美しさをそして、ミノタウロスの涙はこの小瓶に入れて帰ってくるのじゃ。

しかし、今日はもう遅い。出発は明日の朝にして、今日はゆっくりとここで休んでいきなさい。

では、二人とも健闘を祈っておるぞ」

それだけ言い残して、プロメテウスは去っていった。

「うーん。なかなか二人とも難しい問題を出されちゃったな」

神々の顔を見れば、それが容易なことではないということが想像できた。

「とりあえず、太陽。お前はオレが冥界まで連れて行ってやる。もともと冥界への道案内はオレの仕事でもあるからな」

ヘルメスが太陽の肩に手をかけながらそういった。

「では、美名。君は私がクレタ島まで連れて行ってあげよう。ラビリントスの中に入るまでは私たちでも手助けできるはずだからね」

「じゃあ、おいらも美名についていく。いいだろう?」

「ありがとう、二人とも。すごく心強いよ」

美名はアポロンとパンの顔をそれぞれ見て、感謝の言葉を述べた。

「ま、とりあえず今日はプロメテウスの言うようにゆっくり休もう。それぞれに部屋を用意するから、疲れを取って明日に備えるんだ」

ヘルメスの言葉に、他の神々も賛成した。

太陽と美名も自分たちだけではどうすることもできないので、その提案を受けることにした。
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