トリゴニコス・ミソス
太陽と美名はそれぞれ別の部屋に案内された。

自分の家の部屋とは比べ物にならにくらい広いその部屋の中には、それに見合うほどの大きくて豪華なベッドが置かれていた。

それぞれの部屋でベッドにもぐりこんだ二人だったが、なかなか寝付くことができなかった。

体は確かに疲れていた。

しかし、今日一日で起こったさまざまなことが思い出されて頭は逆に冴えわたっていた。

ついに美名は耐え切れなくなって、部屋から抜け出した。

向かった先は太陽が休んでいる部屋だった。

美名は、太陽を起こさないように静かにベッドに近づいていったが太陽も寝ていなかった。

「美名か?」

太陽が寝ているものだと思い込んでいた美名は、心臓が止まるほどびっくりした。

「太陽……。起きてたの?」

「ん、ああ。美名も眠れないのか?」

「うん。ねえ、太陽……一緒に寝てもいい?」

太陽は答える代わりにため息を一つ吐いた。

「はあー……」

「何よ、太陽。一人で眠れないなんて、私のこと子供みたいだって思ってるんでしょう」

ふてくされる美名だったが、美名には太陽の本当の気持ちなどわからなかった。

「本当に子供だったらいいけどな」

「?」

「わかったよ。でも、今日だけだからな」

「ありがとう、太陽!」

そういうと美名は、無邪気な顔で太陽のベッドに潜り込んできた。
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