トリゴニコス・ミソス
一人ぼっちでこの迷宮に迷い込んだ心細さから、思っていることを口に出さずにはいられなくなっていた。

「それにしても、ミノタウロスってどこにいるんだろう……。

でも、会えたとしてもどうすればいいんだろう? 

パン君が言うには、頭が牡牛で体が人間ていう怪物だってことだけど……。

だけど、半人半獣ならパン君だってそうだもの。きっと怖くないよね。

でも、パン君は神様で、何でミノタウロスは怪物って言われているんだろう? 

そういえばプロメテウスさんもパン君たちも、毎年多くの生贄がこのラビリントスに送り込まれてて、そして誰一人として戻ってきた人がいないって言ってたな……。

なんか自分で言っててだんだん怖くなってきちゃった。

そんなところから私、無事に戻ることができるのかな?」

そろそろと迷宮の中を進みながら美名は気を紛らわすように、独り言を続けていた。

「あっ! あれなんだろう?」
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