トリゴニコス・ミソス
「はあ、はあ、はあ……」

どのくらい走り回ったのか、気がついたときには美名はラビリントスのかなり奥のほうまで来てしまっていた。

もう自力でこの迷宮から抜け出すことなど到底考えられなくなっていた。

「どうしよう……私、戻れないかもしれない。太陽……イデア君……」

美名はもうこの緊迫した空気に耐え切れなくなっていた。

目の前にした死というものに飲み込まれてしまっていた。

全ての気力を失い、美名はその場にうずくまった。

「ごめん、太陽、イデア君。私、もうだめかもしれない……。

考えてみれば、私いつも太陽に助けてもらってた気がする。

何か困ったことがあると、気が付くと太陽が側にいて、いつも私のこと見守っててくれた。

私って、ホントに太陽に頼りっぱなしだったんだな……。

もう、太陽に会えなくなっちゃうのかな……? 

イデア君をまた見捨てることになっちゃうのかな……?」
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