トリゴニコス・ミソス
ふとそんな考えが頭を掠めた。

その瞬間、どうしようもない感情がわきあがってきた。

太陽にもう会えないのなんて嫌だ。

イデア君にまた辛い思いをさせるなんて嫌だ。

それに、太陽と絶対に戻るって約束した。

イデア君とも絶対に一緒に帰るって約束した。

その二つの約束だけは果たさなくてはいけない。

そんな思いが美名に力を与えてくれた。



美名は再びこの迷宮の中を歩き始めた。

もう、人骨の山を見ても逃げ出さなかった。

落ち着いてその人骨の山を見てみると、とても丁寧に積み上げられているのに気が付いた。

まるで誰かが、彼らを弔うために築き上げたそんな風にも感じられた。
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