トリゴニコス・ミソス
それから数日後の休日。

二人は、あの洋館の前までやってきていた。

二人が子供の頃からずっと存在しているのに、誰一人住んでいる人を見たことがない不思議な洋館。

子供の頃、この洋館の前を通るたびに思った、大きいという印象は、高校生になった今でもそれは変わらなかった。

「やっぱり、おっきいねー」

美名は子供のようにその洋館を見上げて素直な感想を述べた。

「あっ、そうだ!太陽、手出して」

「何だよ」

文句を言いながらも、太陽は両手を差し出した。

パラパラパラ。

太陽の掌にチョコや飴などのお菓子が降り注いだ。

「あのなー、お前。遠足じゃないんだからさー」

「えー、だって『腹が減っては戦はできぬ』でしょ?」

「いったい、どこ行くつもりなんだ?」

子供のような笑顔を見せる美名に、太陽は苦笑した。
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