トリゴニコス・ミソス
三つある頭のそれぞれの口は今にも太陽を食い殺そうと大きく開かれた。

その瞬間、太陽は手の中に握り締めていたものをケルベロスへと投げつけた。

それは、ケルベロスの大好物の菓子だった。

ヘルメスにこの話を聞いたとき、まさかそんなにうまくいくはずはないと思っていた。

しかし、意に反してケルベロスは予想以上の反応を示した。

ケルベロスはその菓子に夢中になり、太陽の存在さえも忘れてしまったようだった。

太陽は、その隙を見て門をくぐりぬけケルベロスが守る宮殿の中へと滑り込んだ。


ここまでくれば、後はペルセフォネを見つけて美しさを分けてもらうだけだった。

しかし、宮殿の中に入ったのはいいが薄暗い空間が広がるばかり。

この中で、どうやって彼女を見つけ出せばいいのかわからなかった。

ただ、いつまでもここに佇んでいるわけにもいかない。

太陽はとにかく宮殿の奥へと向かった。
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