トリゴニコス・ミソス
宮殿の中は、外とほとんど変わらないほどの暗闇に包まれていた。

しかも、外とは違って全く何の気配さえも感じられない。

本当にこんなところに誰かが住んでいるのだろうか。

ふと、そんな疑問を抱いたとき、背後から声をかけられた。

「あなたは人間ね。しかも、生者。生身の人間がなぜこのようなところにいるのかしら?」

その声は思わずぞっとするような、冷たい声だった。

しかし、その声はずっと聞き続けていたいと思わせる魔力を含んでいた。

太陽は、思い切って後ろを振り返った。

そこには、今まで見たこともないような美しい女がいた。

曙の女神エオスも憂いを含んだ美女ではあったが、それとは全く違う危険な美しさを孕んだ女だった。
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