トリゴニコス・ミソス
太陽はその美しさに、思わず見とれてしまっていた。

しかし、次の瞬間美名の顔が頭の中に浮かび、正気を取り戻した。

「……あんたは、誰だ?」

そう尋ねる太陽の声は掠れていた。

「うふふ。かわいらしい少年ね。でも、人に名前を尋ねるときはまずは自分から名乗るものよ」

その女は、完璧な微笑をたたえながら歌うようにそう言った。

「俺は、太陽。ペルセフォネという人を探している。あんた知らないか?」

「あら、そうなの? なぜ、彼女を探しているの?」

「それは、本人に直接話す」

「まあ、気の強い子ね。でも、私あなたのことが気に入ったわ。

――ペルセフォネは私よ。さあ、何で私を探していたのか教えてちょうだい」
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