【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
「そ、それよりもう校舎には用はないだろ、早く次に行こうぜ。日が暮れて犯人が探せなくなるぞ?」
「……そうですね」
堺は俺の横を通り抜け、廊下へと出る。
俺も安堵のため息を吐いて、堺に続いて横に並んだ。
「全然だな」
「ですね」
「考えとかはないのか」
「今のところはありませんね。てめぇはどうですか?」
「てめぇって…。そうだな、さっきすれ違った用務員のオッサンの所にでも行ってみるか?」
「そうですね。あなたにそういう趣味があるなら行ってみましょう」
そういう趣味ってどういう趣味なのだろうか。
「何の返答もないと言うことは、本物。なんですか?」
階段にたどり着き、ため息を吐きながら階段を降りていく。
階下や別棟から歪な楽器音が寂寥とした校舎の静けさを爽やかに壊していく。
「て言うかさ俺達二人で犯人捜しは元々無理な話だったんじゃ」
「やる前から諦めていては成せることも成せません。死ね」
良い事言ってんだけど最後の置き言葉が…。
「それにヒントはないわけではありません。私は昼休みにいつもあの子達に水をあげています」