【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
「外部の可能性はないのか」
「ほぼありませんね。なぜなら落とし穴、あれは校舎側から入ってこないとハマらない落とし穴です。外部からの侵入者ならば花壇正面の金網を登って侵入するはずです」
確かに。
それに花をぶった切るだけというのにも疑問が残る。
「外部の可能性はほぼありませんよ」
校舎から出ると既に東の空からは夜闇が迫り茜空が緩慢に浸食されていく。
「日も暮れてきました。少し急ぎましょう」
そう言って堺は少し歩を早める。
とは言っても俺は堺の遅い歩調に合わせていたのであまり変わらないのだけど。
向かう先は駐輪場奥にある用務員の休憩室。
時間も時間だからか駐輪場に止めてある自転車は既にまばらだ。
「そう言えばミトコンドリアさんも自転車通学ですよね?」
「そうだよ」
「どの自転車ですか?」
俺の自転車が気になるなんておかしな奴だな。
「この青いフレームのヤツだ」
「どれ」
おもむろに取り外される俺の自転車のサドル。
「これがあなたの武器です」
これで俺に何と戦えと言うのだろう?