【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
「さ、時間は待ってくれません。早く行きましょう」
「いや待ておい。サドル直させろ。いやマジで。俺の自転車がいじめられっこ使用になってるから!?」
しかし堺は待ってはくれずガンガン先を進んでいく。
アイツを一人にすると、何かと問題がある。
仕方ない。俺の自転車には少しいじめられっこ使用になっててもらおう。
堺を追いかけ隣に並ぶ。
目の前に小さなプレハブ小屋が見えてきた。オッサン達の憩いの場だ。
入り口手前まで行き、間も置かずにノックする。
出てきたのはさっきすれ違った用務員のオッサン。
今し方まで吸っていたのかタバコの匂いが鼻孔をくすぐった。
「おや、堺ちゃんじゃあねぇか」
「こんにちわ。突然なんですが今日、校舎裏に行った方とか見てませんか?」
「校舎裏?」
オッサンは目を瞬かせる。
「どうかしたのかい?」
「えぇ。ちょっと」
「そうかい?とりあえず俺はその時間には見てないし行ってないな」
「そうですか」
「なんか、すまないね。役に立たなくて」
「いえこの細胞の有象無象に比べれば全然」