【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
右足に力を入れ一気に踏み出す。
頭、それに脇腹がズキンと痛んだが気にしてる余裕はない。
俺の武器はサドル。向こうは鎚。
戦力差がありすぎだ。
てゆうかサドルなんて初めて使うから勝手なんてわからんぞ!?
オッサンは乱暴に、近づく俺を粉砕しようと鎚をブン回す。
向こうには幸いにも慣れは感じない。
それはそうか。
鎚で人ブン殴るのに慣れてる奴ってどんなだよ。
「フン!!」
縦に振り抜かれた鎚がグシャリと土にめり込む。
チャンスだ。
オッサンの頭に、さっきのお返しとばかりにサドル(先の尖ってる方)をぶちかます。
が。
「危なっ!?」
振りかぶった俺の胸部部分を何かで横に切られた。
ブレザーに僅かに切られただけだが、あと一歩踏み込んでいたら。
背筋に嫌な汗が流れた。
「……その鎌で、この子達を切ったんですか?」
ふと、俺とオッサンの間に静かな声が入り込んだ。
見れば、堺が花壇を向いてしゃがみこんでいた。
「さあ。何の事だい?」
「しらばっくれても無駄ですよ」