【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
「ミトコンドリア。知ってますか?」
「なにをだよ!?」
オッサンの鎚が横に振り抜かれる。それは後ろに跳んでかわし次の攻撃が来る前にサドルで牽制する。
「その人、私に告ってきたんですよ?」
「はぁ!?」
告られただぁ!?
「まぁ私もびっくりしたんですけどね。あ、勘違いしないで下さいね。ちゃんと断りましたよ?」
「当たり前だ!!」
大体にしてそれは犯罪じゃねえのか!?
不意に殺気を感じた。
「うぉ!?」
眼前を通り過ぎる鎌は俺の前髪を僅かに切り飛ばしながら空を切る。
「あっぶねぇ!?」
「貴様らぁぁぁぁぁ!!生きて帰れると思うなよぉぉぉぉぉぉ!?」
オッサンの背後から黒い何かが見える。人はそれを怒気とか憎悪とか言うんだろうな。
もちろん、黒いオーラは俺の錯覚なんだろうけど。
「オッサン落ち着けって」
「これが落ち着いていられるか!?」
もはや力任せにブンブンと鎚を振り回してるだけ。なんだろうけど。
俺の背後にゃまだバカ堺が暢気に座り込んでるせいでオッサンの鎚をサドルで受けざるおえない。
流石にそろそろ限界かも知れん。