【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
それはさっき堺が取りに行った『忘れ物』だとか言っていたモノ。
短めな木製の柄。その先に取り付けられているのは鈍色に輝くわずかに曲がった刃。
人はそれを鎌と呼ぶ。
堺は慣れた手つきでそれをクルクルと回し、冷えた視線で『今日の獲物』を舐めるまわす。
「『かまいたち』を知っていますか?」
それは妖怪の名か、自然現象か。はたまたこの学校にいると言われる姿なき切り裂き魔の通り名か。
オッサンの返答は待たず堺は続ける。
「別に『私達』は名乗った覚えはないんですが、いつの間にかそう呼ばれるようになってたんですよね」
ぶらりと、鎌を持つ腕が力なく下ろされる。
「その、『かまいたち』とやらがお前らだと言うのか?」
「あなたにはもう、関係ないでしょう?」
堺の脱力を合図に俺はサドル片手にオッサンに攻撃を仕掛ける。
回り込み、堺と挟み込むようにオッサンにサドル攻撃。
対峙するのはさっきまで殺意満々で振り回していた鎚。意外とサドルはやりおるな。