【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
「バカバカしいとか言うならそれなりの理由があるんだろうな」
カツカツと廊下を歩く二人分の足音が反響する。
「彼女らの言う『かまいたち』は生徒しか襲っていません。それがどうして突然幾つもの花を切りつけるんですか?しかも丁寧に花弁だけが切り落とされています」
突き当たりを曲がり階段を上っていく。
「私の言いたい事わかりますか?」
「あんまり」
「早くトリカブトを摂取してください。テトロドトキシンでもいいですよ?」
両方とも凶悪な毒だ。一舐めでも逝っちゃう。
「つまりはですね。犯人はイタズラではなく、明確な悪意を持って花弁を切り落としたんです。あの花壇を管理しているのは私。もしくはミトコンです」
「あだ名なのかミトコンって」
「つまり犯人は私かミトコンドームに恨みを持つ人物だと想像できます」
「おいマジでミトコンドームは止めろ。ミトを取ったら俺のあだ名は取り返しのつかない事になる」
階段を上ってる途中用務員のオッサンとすれ違った。
あとでオッサンにも聞き込んどくか。