【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
まあ隠すには難しいだろうしな。
「ちなみにさ、その切りつけられた奴って学校には来てんの?」
「…実はね、わかんないんだよね」
わかんない?
「あ、わかんないってのは登校してるかどうかじゃなくて。今の所、表立った被害者がいないんだよね」
うん?またそれは難解な。
「悪い。意味がわかんないんだが」
「誰も『かまいたち』に切られたとか言わないんだよね。つまり被害報告がなくて、だから切りつけられた人が登校してるかはわからない。私達はただ足に包帯を巻いてる人を『そうじゃないかな?』って思ってるだけだから」
「わけわからん」
「だよね。私もわけわからんだもん」
俺達は何となくアハハと笑いあう。
それから肩を叩かれ、見れば堺が斜陽に体を染めていた。
「お待たせしました」
「忘れ物はいいのか?」
「はい。大丈夫です。聞き込みを続けましょう」
そう言って女生徒に会釈し、教室出口へと向かう。
俺も堺に続いて、一度振り返り女生徒に手を振る。
「バイバーイ」の声と振り返された手に見送られ教室を後にした。
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