私とキミの恋音。
「ほら捕まれ。」
星が先に登って私の手をつかんだ。
「よいしょっと。」
私も登り終わると二人で並んで座った。
「アニメみたいだね。」
「あぁ。」
「お兄ちゃんわかるかな?」
「どうだろうな。」
星は遠い目をしていた。
「なんかあったの?」
「いや、昔母さんとこの海来たことあるんだよ。」
星は悲しい顔で海を眺めてる。
「俺母さんっ子だったからよ、毎日必死で探したんだよ。
見つかんなかったけどな。
正直俺今回の再婚には賛成できなかった。」
「うん。」
「でも、仕事と家事を両立させてる親父に楽させるには賛成しなきゃいけねーなっておもった。」
「私も同じだったよ。」
「そっか。
でも今は賛成してよかったって思えんだよ。
親父が笑ってるの見たの何年ぶりだろ。
由美さんとお前のお陰だよ。」
いつもぶっきらぼうな星がはじめて見せてくれた一面に少し戸惑う私。
「私も今のお母さんの幸せそうな顔見たらこれでよかったっておもうよ。ありがとう。」
私は恥ずかしくて星の顔を見ないで言った。
「まぁ、クラスメイトと兄妹になるのはビックリだけどな(笑)」
「うん。」
この日星と少しは距離が縮んだ気がしたんだ。