私とキミの恋音。
時計は6時をさしていた。
夕陽が部屋の中にさしこむ。
「相手の人はお母さんの職場だった社長さんで、年はお母さんの1つ上で40歳よ。」
社長さんって金持ち…。(食いつくとこはそこじゃない。)
「それで?」
「バツイチよ。」
はい来た、はい来たー。
「うん。」
「子供もいる方よ。」
私ってエスパーなのかな!?(ちがいます。)
「男の子が二人でいるらしいわ。
奥さんは10年前に離婚届をおいて家を出ていったらしいの。
行方は今も分からないって。」
「もしその奥さんが戻ってきたらどうするの?」
「それはお母さんも聞いたわ。
もう一緒にはならないって。」
「お母さんはその人の事好き?」
「好きよ。」
お母さん。
貴女は私を女手1つで育てて来てくれたよね。
毎日毎日仕事して…
私が家に帰ったらご飯がちゃんと用意してあって。
誰にも頼らず私をたった一人で育ててきてくれたよね。
人生たった一度きりだよ?
お母さんだって幸せになりたいよね。
好きな人と一緒になりたいよね。
老後を一人で迎えなきゃいけないなんて悲しすぎる。
私がお母さんの人生を壊したくない。
「お母さん。
再婚していいよ。
私はお母さんに幸せになって欲しいもん。」
「心奈…。
ありがとう…。」
お母さんは小さい声で私に言った。
お母さんの頬には涙が一筋つたった。