冬がとける日
そんな、
存在意義の薄い父親に私の名前の由来を聞いてみることにした。

今思い返すと、あれが父とまともに会話した最後のものだったかもしれない。


私の問いに父親は回らない呂律で答えた。ゆでダコのように真っ赤な顔で。


「知らない。母さんがつけたんだ。」


それだけだった。


ふーん。


母の、我が家での権力の強さを、改めて実感しただけだった。
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