冬がとける日
「お前さ、例の商社マンとは最近どうなんだよ?」


昼休み。
キャンパスの講堂近くのベンチに座り、

ボーッと空を見上げていた私に問いかけてくるものがあった。


フラれたというか、別れたというか、あの日から一週間。以来音信不通の俊之さんとの恋は私から見たら終わったものであったが、
まだ俄然引きずっていた。


仲の良い女友達に泣きながら愚痴を言い、

酔った挙げ句に指輪を橋から川に投げ捨てた。


ものに罪はないのだが、
指輪に掘られたメッセージには罪深さを感じたので、
カッとなって捨てたのだが、

今さらもったいなかったと感じないこともなかった。
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