冬がとける日
「だーかーら、例の金持ち商社マンとはどうなったんだよ?」


明らかに私の何もなくなった左手薬指を見ている。


こいつのこういうところが嫌いだ。


「あ?」

とだけ答える。


「何?もしかしてってゆうか、やっぱり別れたんか?だよなー。あいつ正門前に外車横付けなんかしちゃって、ブランドモノのスーツで固めてるあたり、バブル期のくそ映画見てるみてぇだったもんな。
いやいや、ふって正解正解。」

断りもなしに私の隣りに座り、正樹は続けた。


「で、お前さ、あんなののどこが良かったんだよ?」

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