冬がとける日
「てか、和美、5限のテスト自信ある?
あたし数学からきしな上に、トニーの問題大嫌いなんだよねー。
あいつ見た目も問題もねちっこいじゃん。 」

我らが数学教師・鈴木都仁之助、通称トニーはダッパダンのポマードで頭を固め、体臭を防ぐために付けている悪あがきのコロンが体臭と相まって悪臭を放っているおっさん先生である。


ネチネチと授業中に生徒を質問責めにし、
ネチネチとしたテスト問題を作ることも相まって、これでもかと言うくらい嫌われていた。


そもそも可愛い物を可愛いと言う自分を愛し、可愛くないものへは徹底して排他的な女の集合体、女子高に赴任してきたのがそもそもの間違いなのである。


数学を教え込みたいという理念、
アホ毛を嫌うという徹底姿勢、
加齢臭を隠したいという粘り強さ。

一生懸命な姿勢が全て裏目に出ている、
可哀想な地方公務員なのである。

しかしそんなやつのテストを受けなくてはならない私たちの方がよっぽど可哀想なのである。


何が楽しくて、微分積分をするのか分からない。


< 34 / 79 >

この作品をシェア

pagetop