冬がとける日
「和美…。
私もう数字見たくないわぁ。全然出来なかった。
あーあ、またトニィに叱られるのかなぁ。」


早苗と二人、昇降口でローファに履き替えていた。


このまま帰るか、
それとも少し寄り道して行くか。

和美は浮かれていた。


数学のテストが出来たのだ。
まさかそこまで…

と、言うくらいに。



和美も早苗と同じく、
数学が死ぬほど嫌いだ。

あと英語も大嫌いだ。


期末テストでアホみたいな点数が着いた時、
英語教官室に呼び出され、しかられたことがある。

あまりにしつこいので、

「大日本帝国に生まれた、女児でありながら敵性言語である英語を学ぶなんて、
非国民であります。」

と、言った。


先生は泣いた。


そのくらい英語は嫌い。

と、言うか勉強が嫌いだ。


だけど、数学のテストが出来て、やっぱり嬉しかった。

雄一に感謝。

鼻歌まじりで、
未だブツブツ言っている、早苗と正門に歩いていく。


すると、
見知った顔がいた。
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