冬がとける日
そうか。
だから見たことがあったんだ。


和美も雄一の顔をまじまじと見る。


誰かの写真を見せてもらったことがあったのだ。


「うわ、ごめん。雄一くん。
その、私だってまったく知らなかったわけじゃないの。
見たことあるなーって思ったのよ、本当に。」


和美は雄一に謝る。


「いやいや、いいんです。
僕なんか井坂先輩の足元にも及ばないし。
人気とか言ったって井坂先輩の方がモテモテだから。」


雄一はそう言って笑った。


なるほど。
改めてみると、
みんなが騒ぐレベルの良い男だ。


こんなアイドルくんと毎朝同じバスに乗っていたのに気付かないなんて、
和美は自分の注意力の低さを痛感した。
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