冬がとける日
雄一がトイレから帰ってきても、
早苗が電話から戻ってきても、


気まずさは無くならなかった。


そのまま解散。


井坂はいつも通り、おちゃらけていたが、

和美は突然のことにどうすることも出来ない。

そのまま井坂と早苗と別れた。


井坂が?
私を?
結婚?
井坂と?


何のイメージも沸いてこない。


雄一と二人でバスを待っていると、

「どうした?なんかあった?
井坂先輩の様子も変だったし。」

雄一に全部話してしまおうか。


「ううん。なんでもないの。なんか暑くてさ。」


言えない。
と、ゆうかなんて言って切り出していいかも分からない。
それに、結婚しなよ。
とか言われたら確実に落ち込む。


そう。
和美は雄一への気持ちに気付いていた。


好きなんだと思う。


「まぁいいさ。なんかあったらオレに言ってよ。
年下だけど力にはなれるから。
もっと頼っていいんだぜ。」



雄一は笑った。


「あ、てかさ、
こんな歌知ってる?
ビートルズのなんだけど、
『キミが64歳になったらボクは63歳だ。
そのくらいになったら一歳の差なんて関係ないだろ。』ってやつなんだ。

つまりはさ、そういうことなんだよ。オレたちの関係はさ。」


雄一はもう一度笑った。
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