冬がとける日
ドキドキした。

そんなこと言ってもらえると思いもしなかった。


一歳の差も、

64歳というこの先の長さも。
もしかしたら雄一くんも私との未来を見てくれているのかもしれない。


その綺麗な笑顔を見ていたら、全部どうでも良くなった。


「そっかぁ。なら言おうかな。
あたしささっき井坂に告白されたんだ。いや、あれはプロポーズか?
うん。けどね、あたしは井坂より雄一君の方がいいなぁって思ってるんだよね。だから悩んでるのよ。」



出来るだけ軽く、
出来るだけ的確に伝えた。


いや、告白した、か。



あーあ。
言っちゃった。

こんなタイミングで言う気なかったのになぁ。

全部井坂のせいだ。

まったく。


「え?なら話は早いよ。じゃぁ、オレと付き合えばいいじゃん。
結婚すればいいよ、オレと。
てか、さっき半分告白、半分プロポーズしたつもりだったんだけどなぁ。
あの歌、まさにオレたちのためにあると思ったんだよね。」


は?

え?


和美はいまいち状況が掴めなかった。


和美のポカーン顔を見て、雄一は続けた。


「いい?オレはバスで声をかけたよりずーっとずーっと前から好きだったの。
確かに井坂先輩もずっと前にから和美ちゃんを好きだったのかもしれないけど、

そんなの知らない。
オレは和美ちゃんが好きだし、和美ちゃんもオレを好きなら、オレにすればいい。たった一歳の年の差なら気にするなって、ジョンもポールも言ってるよ。」



和美は泣いた。


泣いて、雄一の胸に飛び込んだ。



「ばか。
48歳と47歳だって変わらないわよ。」


井坂、ごめん。

私、この人が好きです。
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