冬がとける日
「あらぁ?ゆき、恋人?
いい男ねぇ。」


母・和美はリンゴを丸かじりしていた。


テレビも着いている。



立ちすくむ私と正樹。

とりあえず、

「いや、彼氏じゃない。元カレ。」

とだけ答える。

正樹は頭を下げる。


「あら、そうなの?もったいないことしたねぇ、ゆき。」


声を挙げて笑っている。


正樹と顔を見合わせる。


「え、だってお母さん、倒れたって。電話で…」


母の元気な姿が嬉しいのか、良く分からない。



「倒れた?あー、はいはい。
実は職場の階段から落ちて、足の骨、折っちゃって。やんなっちゃうわよねー。少し、入院だって。
ここ禁煙じゃない?
ニコチン切れて死んじゃうわよ。」
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