冬がとける日
いわゆるプレイボーイである彼が判断ミスをしたのは、
あのようなタイプの女性をフィフスにしてしまったこと。

そして男運のつくづく悪い私の判断ミスは、ああした場合取り乱さずに、潔く立ち去ってしまう道を選択をしてしまうところ。


得てして男はそのような女を良い思い出と心に位置付け、
取り乱す女をパートナーに選ぶのだ。

人生とは不条理な物かな。


別にこれが初めてではない。
高1の時、初めて出来た彼氏は私の友達に浮気し、
そちらを本気にした。

高3の時に付き合った男はダメダメのダメ男。時間にルーズな彼に待たされた時間は最長6時間。
6時間待った私も私だが、
時間にルーズな男は全てにおいてルーズなのだと、学べたことが唯一の利点。


大学1年で付き合ったサークルの先輩は…

と、話始めたらキリがない。


とにかく、私はこれまで良い恋愛をした思い出がない。


冬の夜空は凍っているように冷たく、
左手薬指の金属の冷たさが増す。


指輪を外し、寒空にかざす。
TtoY
俊之からゆきへ。

メッセージが胸に刺さる。

「私の男運の無さは誰に似たのだか。」


ふと、その指輪を見ていて、既視感に襲われる。


俊之さんに指輪を貰ったのは、後にも先にもこれ1つだけ。


過去のダメ男たちがくれた安物の指輪にこんなメッセージが入っていたことはない。


いつ見たのだろう。


私は記憶の引き出しをひっくり返し始める。
と、同時に、
こんなイニシャルが入っていたら恥ずかしくて質屋になんて流せないと、がっかりしていた。
< 6 / 79 >

この作品をシェア

pagetop