冬がとける日
「そっか、ならよかった。
今度はうちにも来いよ。うち親父たちも和美を紹介したい。」
雄一と和美は幸せだった。
この上もなく幸せだった。
二人はまだ高校生だったが、結婚をする気でいたし、それが当たり前だと思っていた。
「てかさ、雄ちゃんいつもいつも太宰読んでて、もう読むものないんじゃない?
あたしはもう読破しちゃったよ。」
和美は雄一の小説を指差した。
「ああ、これ?」
雄一は「津軽」をペラペラとやる。
「前に、最初にここで話した時、和美が津軽に行ってみたいって言っていただろう。
だからこれを一語一句暗記して、旅行に行くときの参考にしようと思って。いつか二人で行こう。」
和美は嬉しくなった。
幸せとはこういう毎日なのだと実感する。
まだ見ぬ津軽の町中を、太宰治が暮らした町中を、雄一と二人歩く姿が目に浮かぶ。
それは若い姿でもあり、
年老いた姿でもあった。
雄一との将来を夢見る。
「そうだね。絶対行こうね。」
今度はうちにも来いよ。うち親父たちも和美を紹介したい。」
雄一と和美は幸せだった。
この上もなく幸せだった。
二人はまだ高校生だったが、結婚をする気でいたし、それが当たり前だと思っていた。
「てかさ、雄ちゃんいつもいつも太宰読んでて、もう読むものないんじゃない?
あたしはもう読破しちゃったよ。」
和美は雄一の小説を指差した。
「ああ、これ?」
雄一は「津軽」をペラペラとやる。
「前に、最初にここで話した時、和美が津軽に行ってみたいって言っていただろう。
だからこれを一語一句暗記して、旅行に行くときの参考にしようと思って。いつか二人で行こう。」
和美は嬉しくなった。
幸せとはこういう毎日なのだと実感する。
まだ見ぬ津軽の町中を、太宰治が暮らした町中を、雄一と二人歩く姿が目に浮かぶ。
それは若い姿でもあり、
年老いた姿でもあった。
雄一との将来を夢見る。
「そうだね。絶対行こうね。」