冬がとける日
二人の結婚に反対するものはなく、


このまま順調に行けば、
翌年の夏には式をあげることになった。



井坂は高校を出ると、東京の大学へ進み、今は東京で商社マンをしている。


電話で知らせると、
とても喜んでくれた。


早苗を初め、中学、高校時代の友人にも伝えた。


中学時代の悪友たちには、

「まさか和美が一番先とはね。
よかったね、おめでとう。
それと、
井坂の婚期が遅れたらお前のせいだな。
お前みたいな悪い女を中学時代から片想いして、挙げ句部活の後輩に持ってかれちまうんだもんな。」

と、言われた。


複雑な気分。


井坂よ…

お前は私に伝える前に、いったい何人にペラペラと自分の気持ちを話しているんだ?


和美の母も雄一が婿に入ってくれると言うので、
大賛成。



雄一には兄が一人おり、
家はその兄が継ぐことなっていた。


二人の未来は順風満帆に思えた。
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