冬がとける日
雄一の親も家を継いでくれる存分が雄一以外にいなくなり、
婿に出すわけにはいかなくなった。


和美の家も同じ。


雄一の両親が和美を嫁に欲しいと言い出してから、

和美の母は手のひらを返したように結婚に反対するようなった。


「もしあんたが嫁に行くっていうなら、あたしを殺してからいきな。」


和美の母はそう啖呵を切って、意志を曲げようとしなかった。


和美の指にはプラチナの指輪が光り続け、
雄一も和美もお互いに気持ちが変わらなかったのだが、


このまま結婚したとしても、
誰も幸せにはならないのだと感じ始めていた。



そして、
秋と言うには寒くて、
雪がちらつくと予想されたある日の午後。


二人は別れることを決意する。


二人とも泣いていた。


好きなのに別れる。

和美はどうしていいか分からなかった。


空から雪がちらつき始める。
秋なのに雪が降るなんて珍しい日、二人は別れを決意した。


最後に雄一は言った。


「和美、もしこの先もオレを好きでいてくれたら、

今の気持ちをずっとずっと持ち続けていてくれたら、

20年後の今日、またここで会おう。
20年も経って会えたら、それは奇跡じゃなく、運命だよ。オレたち二人は運命だって証明しよう。」



雄一は泣きながら笑った。


そして、
ビートルズの曲が入ったカセットと、
プラチナの指輪をくれた。

和美は涙が止まらなかった。
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