冬がとける日
やがて、和美は勢いで結婚した。

親が決めた男。


その人と結婚すると決めたときも、
和美は雄一が好きだったし、
これから先も雄一以上に好きな人は現れないと確信していた。



そして和美の結婚が決まった頃、
一通の小包が届いた。


中にはボロボロになった「津軽」と手紙。


「君が何処に行こうと、何になろうと、他の誰と結婚しようと、
ボクはずっと君の幸せを願っているよ。
竹下雄一」


和美は涙が止まらなかった。


そして、その手紙とプラチナ指輪、ビートルズのカセットテープ、二人の思い出を箱に入れて閉まった。


和美は、その思い出だけで生きていこうと決めた。


結婚相手には申し訳ないが、
和美が好きなのは一生涯を通して雄一だけだから。



そして雄一と約束した20年後を支えに生きていくことを決意する。
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