冬がとける日

和美の住む市は分かりやすくとゆうか、単純にとゆうか、
県立高校は一高、二高、三高、四高という順に頭のレベルを分けられ、その数字の通り一高が一番勉強の出来る高校であった。


そして何故か、一高は男子校、和美の通う二高は女子校と言う風に分けられていた。



とくに一高は敷居が高く、各中学から選りすぐりのガリ勉たちの通う高校。
田舎街とは言え門戸が広いわけではないのである。


格好いいガリ勉もいるのだなと、
和美は関心していた。


肌は雪のように白く、
大きな目が小動物のよう。
栗色に近いふわふわのネコ毛がさらにその雰囲気を醸し出す。


しかし、相対した時、和美が座っていたからはっきりとは分からなかったが、
狭いバスのイスに収まりきらずに持て余す長い足は長身を思わせる。
小動物とゆうより、鹿、バンビみたいだな。


ムダがないとはこのことだと、和美は関心する。
だが同時に、男のネコ毛は禿げるというなんの根拠もない噂を思いだし、
名も知らぬ美少年に同情する。

あなたの美点がいつしか、欠点になるのよ。


すると突然彼が和美の方を見た。
心の声を読まれたのか?
心配になると共に、
真っ直ぐに見つめる彼の目に吸い込まれる。

ビー玉みたいと言ったら、感情がないように聞こえるかもしれないが、
ラムネのビンに浮かぶビー玉のように澄んだ綺麗な目をしていた。

黒目がちなところまでバンビのよう。


バンビはそのまま言葉を続けた。
「あなたもその本好きなの?僕と同じだ。」


そう言ってバンビは自分の本の表紙を私に見せた。


和美は驚いて聞き返す。


「え、いや好きとか嫌いと言うか、今日がテストだから数学の教科書を読んでいるだけです…」
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