Call Your Name





泣き続けるあたしの側にずっといてくれた。



きっと居づらいはずなのに、佐伯君はずっと……あたしに寄り添っていてくれた。





こんなに優しくて、いい人なのに、あたしはこの人を振った。



それは、今の想いを消したくないから。

自らの手で忘れることができないから…





「ごめんなさい……」



「そんなに謝んないで。俺、反堂さんに告白したこと、後悔してないから。むしろ、他の奴を超して誇りたいくらい?」



声を上げて笑う佐伯君。



「他の奴……?」

「知らない?反堂さんのこと好きな人たくさんいるんだよ?」

「嘘だ」

「いや、本当だから!」



ナデシコやツバキならともかく、あたしみたいな地味でつまらない人間を好きなんて……

あり得ないよ。




< 70 / 89 >

この作品をシェア

pagetop