大切なもの
別れ
俺は、自分の家に着くと、
自分の部屋に駆け込んだ。
ただいま、も言わずに。
祖母ちゃんに、言ってなかったから。
花梨のこと。。
「……」
自分の部屋に入って、静かに扉を閉めた。
そのまま、崩れるようにその場にしゃがみ込む。
涙が、溢れてきたんだ。
男が泣くなんて、格好悪いのかもしれない。
でも、俺は涙を抑えきれなかった。
自然に頬を伝う、熱い涙。
俺は、声を押し殺して泣いた。
辛くて、辛くて、でも、花梨のため。
俺は、家族じゃない。
ただの、恋人。だったんだ。
中学生の俺には、何もできやしない。
花梨が自分から離れていくのを、
ただ、黙って見ているだけ。
引きとめることさえも、
できないんだ。。。
泣いて泣いて、すごく沢山泣いて。
何だか疲れた。
だから、寝よう。
寝たら、何もかも忘れられる。
少しの間、何も考えなくていいんだ。