大切なもの
俺のこと、知ってる人間なんて、
いないのかもしれない。
だって、
俺自身もしらないんだから。
「そっか。気づいてくれたんだ。
夢舞は優しいな。」
俺はそう言って夢舞の頭をなでる。
うん。
何で頭なでたのかなんて、わかんないよ。
ただ、そうしたかったから。
ちょっと、馴れ馴れしかったかな。
そう思った瞬間、
夢舞の手が俺の手に触れた。
夢舞の頭の上にあった俺のてが、夢舞の手によって硬直された。
「怜央…くん?
あ、そうだ。私のこと、花梨って呼んでよ!」
花梨……?
俺が?
夢舞って呼ぶだけでいっぱいいっぱいなのにか?
名前で呼ぶのって、恥ずかしいもんなんだな。
真紀は真紀って呼べるくせに。